関東と関西の料理の違い|うどんやそばだけでない?お寿司も違うよ

グローバル化の時代は、食文化にもおおきな影響を与えています。例えば日本の寿司などは欧米でも人気があり、Sushiという言葉は欧米の諸言語にも取り入れられています。生の魚をたべるなどということは、欧米ではとても考えられなかったので、食文化のグローバル化の果たす役割は大きいですね。

その反対に、わが国でも世界各国の食文化が輸入され、もとは外国のものであった天ぷらもラーメンもカレーも、なくてはならない日本の食文化になっています。食文化のグローバル化が進むなか、逆に昔からその地方に根付いていた食文化が見直されつつあります。また、同じ料理でも地方によって呼び方も違えば作り方も味も違う、ということがあります。ここでは、関東と関西でそのような料理をいくつか取り上げてみることにします。

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うなぎの蒲焼

うなぎは、かつては全国各地の川や沼に生息していて、伝説や民話にも登場することがあります。今では、海から上がってきたシラスを捕獲して養殖することが一般的になっていて、天然うなぎを口にすることはほとんどありません。かつて浜名湖の養殖うなぎが一世を風靡しましたが、現在では中国産のうなぎが値段も安くて重宝されているようです。

うなぎは血液に毒が含まれているので、必ず身を切り開いて、焼いたり蒸したりして食べなくてはなりません。その身の開き方が、関東と関西で違います。江戸は武家社会だったので、うなぎは背開きにします。武士というと切腹を連想するので、腹開きをしないのです。それに対して関西では、他の魚と同じように腹開きをします。

関東では、このうなぎの切り身をまず蒸し焼きにして、そのあとでタレを付けて焼きます。これが蒲焼の作り方ですが、タレを付けないでカラシと醤油を付けて食べる白焼きもあります。それに対して関西では、腹開きにしたうなぎをそのまま直焼きにします。

蒲焼は、甘辛い独特のタレを付けて焼きます。このタレは、関東と関西、それぞれの有名店独特のものが用いられています。串に刺したうなぎを直接タレのなかに漬けて焼きますので、独特の味がそこから生まれるのです。

うなぎの蒲焼を丼にすると鰻丼、重箱に入れると鰻重というのが、関東での普通の呼び方です。使用されるうなぎの大きさで値段が違います。それに対して関西では「まむし」と呼ばれています。マムシというのは毒ヘビですが、うなぎをその毒ヘビに例えたのかと想像できますが、実は、「ご飯にまぶしたもの」ということで、「まぶし」がなまって「まむし」になったのです。重箱の蓋を開けて驚くのは、うなぎの蒲焼がご飯のうえに乗っていないのです。蒲焼はタレをかけたご飯のなかに隠れいてます。

おでん

おでんの作り方は、関東でも関西でもそれほど差はないでしょう。いろいろな具を煮汁の中に入れて作りますが、コンニャクや竹輪やさつま揚げなど、関東と関西で共通するものも多いのですが、関西ではクジラの皮と肉の間にある脂の部分を「ヒロス」と呼んでいます。もっとも、捕鯨が禁止されている現在では、もしかしたら「関西のおでん」から消えてしまっているかもしれません。

いま、「関西のおでん」と書きましたが、関西ではおでんのことを関東煮と言います。関東煮と書いて「カントダキ」と読みます。関西では、おでんは関東からきたものであると認識しているのです。

寿司

寿司はもともと、魚を発酵させて作っていました。琵琶湖に鮒寿司という寿司がありますが、江戸前寿司に慣れているわれわれからみると、どうしてこんなに臭いものを食べるのかと不思議に思うこともあります。最近の健康科学では、発酵食品が見直されていて、外国人からみると臭くて食べられそうもない納豆も、逆にわれわれ日本人からすると臭くて食べられそうもないチーズも典型的な発酵食品です。寿司ももともとは発酵食品の一種だったのです。生の魚とご飯を一緒にしておいて、発酵するのを待つのが寿司ということになります。

その伝統は関西では色濃く残っており、奈良の柿の葉寿司、酢漬けの鯖を丸ごと使った京都の鯖寿司、薄切りの鯖を使った箱寿司である大阪のバッテラなどがあります。それに対して関東では、江戸前の伝統があり、新鮮な魚の切り身を酢で味付けして握ったご飯のうえにおく握り寿司が普通です。長い時間をかけて発酵させる鮒寿司のような本来の寿司ではなく、客の目の前で握って出す江戸前ずしは江戸時代に考案されたインスタント食品だったのです。

握り寿司は、握ったご飯と新鮮な魚の切り身のネタの間にわさびを入れ、ほんのわずかだけ醤油をネタのハシに付けて一口で食べます。それが江戸っ子の食べ方です。この江戸前ずしは関西にもありますが、関東より少しご飯は多めで、醤油もたっぷり付けて食べます。

関西では「キズシ」と呼ばれるものがあります。これは鯖を酢でしめたもので、関東では「シメサバ」と呼ばれています。関東ではこれを握り寿司のネタにすることはあまりありませんが、関西ではこれが鯖寿司の大事なネタです。

すき焼き

最後に関東と関西でのすき焼きの違いについて考えてみます。関東では、牛肉や野菜などを鍋に入れて、あらかじめ用意したすき焼きのタレをかけて作ります。それに対して関西では、まず牛肉を焼き、それに酒や砂糖やミリンや醤油などをかけて食べます。そのあと、野菜などを入れて煮るのです。

関東風のすき焼きはタレがすでにできていますが、関西風のすき焼きは、その場で作るのが特徴です。その方が、砂糖を多くしたり少なくしたり、醤油の量を加減したり自由にできるので、味にうるさい関西人には似合っているのかもしれません。

まとめ

料理を言葉で表すのはなかなか難しいですね。料理はやはり食べるものですから、旅行をしたらその土地の名物料理を味わってみてください。ここでは、うどんやそばなど手軽な食べ物について触れませんでしたが、関東と関西の違いを色濃く表しているのは、うどんやそばかもしれません。なぜなら、汁の色が関東と関西で全く違っているからです。

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