手に汗握るって知ってる?気力を集中し緊張して何かをやろうとすることを手に汗握ると表現するのですが、たしかにそのとき手のひらに汗をかいています。この場合はしかたないとして、何もしていないのにただ手のひらに汗がにじんでいることもあります。手に汗をかくとなんだか気持ち悪いし、それにもしかしたら何か病気なのかもしれません。デートのときに恋人の手を握るのも、汗でべとべとした手だと嫌ですね。この手汗の原因は何か、そしてそれを止める方法にはどういうものがあるのかについて少し考えてみることにしましょう。
手汗止める方法
手汗もわきの汗と同じように皮膚の汗腺から出る液体です。わきの汗を止めるらにいろいろな制汗剤が販売されていて、テレビでもコマーシャルされています。しかし、制汗剤は部分的にしか使えないし、それに短時間しか効果がありません。制汗剤というとわきの下に用いるものがすぐに思い当たでしょうが、それは手汗には効果がありません。手汗専用の制汗剤も販売されていますのでそちらを使ってください。
手汗を止めるためのツボがあります。老宮(ろうきゅう)とか合谷(ごうこく)というツボです。それについてはいずれまた詳しく述べたいと思います。手汗の原因として考えられるのはストレスですから、それを抑えるのが手汗を止める方法として有効です。そのために背筋を伸ばして腹式呼吸をしてみてください。下腹に力を入れて息を思い切り全部吐き出し、吐き出し終えたところでお腹をふくらませて空気を体内に取り込みます。それを何度か繰り返すと気分も落ち着いてきます。このようにして腹式呼吸によって自律神経の働きを抑制することで手汗を止めるのに効果があります。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、昼間はおもに交感神経が働いていますが、夜にぐっすり休めるのは副交感神経の働きです。ストレスを解消してゆったりできるためにはこの副交感神経の働きを高めるといいのです。腹式呼吸をすることで自律神経が抑制され、副交感神経の働きが強くなりリラックスできるのです。
人間が汗をかくメカニズムを利用して、半側発汗という方法もあります。これは身体のある部分を強く押すとその部分の発汗が抑制され、それと反対側の身体の部分から発汗するというものです。手汗をかいている手のひらを強く押してみてください。
身体に塗る制汗剤とは別に服用して手汗を止める薬もあります。神経遮断薬というのがそれで、交感神経の働きを抑制する作用がありますが、副作用もありますので皮膚科の医師と相談して服用してください。また、ボツリヌス注射を手のひらに打ってもらって手汗を抑制する方法もありますが、これは高額になります。もうひとつ、寝る前に塩化アルミニウム外用制汗剤を手のひらに塗るという方法もありますが、やはり副作用の関係で長期間使用しない方ががいいようです。最後の手段は手術です。脇の汗や臭いの処置としては、脇の皮膚をはがすという方法がありますが、まさか手のひらの皮膚をはがすなどということはできません。脇のあたりにある交感神経の一部を遮断して手のひらから汗が出ないようにするという手術ですが、やはり手術は最後の手段と考えてください。
手汗の原因
手汗の原因として考えられるのはまずストレスです。ストレスの多い現代社会のことですから、ストレスから完全に解放されることはありません。そのストレスがいろいろな形でわれわれの心や身体に作用するのですが、その作用による現象のひとつが手汗ということになります。ストレスにはさまざまなものがありますし、まったく同じことが人によってストレスになったりならなかったりもしますから、問題はさらにややこしくなります。
手汗はまた、極度に緊張したり不安になったりしたときに出ます。手に汗握るという表現はまさにこの極度の緊張感を表しています。
とくにストレスも感じていないし緊張もしていないし不安なこともない、それでも手汗が止まらないということがあるかもしれません。それは生活習慣の乱れに原因があると考えられます。肥満も手汗の原因と考えられます。肥満とは一言でいえば身体に脂肪が過剰に蓄積されることです。身体を動かすと熱が発生しますが、体内に蓄積された脂肪がこの熱の発散を遮断することになり、肥満体型の人は汗をかきやすくなります。たしかに太っている人は汗かきのことが多いですが、体内に蓄積された脂肪は皮下脂肪だけではなく、内臓脂肪の場合もあり、こちらは肥満体型になることがあまりないので要注意です。
もっとも恐ろしいのは、何かの病気にかかっている可能性があることです。まず考えられるのは更年期障害ですが、糖尿病の可能性もあります。自律神経の異常な緊張で発汗しますから、自律神経失調症という可能性もあります。多汗症とはそのものずばりの病気です。まずは皮膚科に行って相談をしてみてください。過度のストレスなど精神的な問題が原因である可能性もありますので、心療内科も考えられます。
こんな時は嫌だよね
デートに行ったとき、手をつなぎたいですね。こんなときに手汗で手のひらがべたべたなんて、嫌ですね。それにデートのときにはふだんより緊張するでしょうから、ますます手汗をかいてしまうリスクが高くなります。勉強しているときも、緊張状態にありますから手汗をかいてしまいます。シャープペンシルを握る手が手汗でべとべとして気持ち悪いとか、本やノートをめくるときに紙が手汗でぬれてよれよれになるなんて、本当に嫌ですね。車の運転をしているときも、緊張状態にありますから手汗をかくことが多いですね。車のハンドルが手汗のためにすべったりしたら危険ですから、気持ちのうえで嫌だということではすみません。
まとめ
ストレスや緊張はわれわれの生活になくてはならないもので、適度のストレスや緊張は物事を円滑に進めるために必要なことでもあります。多少は手に汗握る努力も必要なのですが、いつも手汗でべとべとしているのは嫌ですし、病気の可能性も否定できません。まずは生活習慣を改善し、肥満を解消してスリムボディになる努力をしてみてください。緊張しそうになったら腹式呼吸で深呼吸することを忘れないでください。手汗をとめるツボもありますからそれを覚えてみてください。