国民年金を払わないとどうなる?不測の事態で障害者年金の給付もなしに

20歳から60歳までの40年間、月数にすると480ヶ月は国民年金の保険料を支払うことが法律で義務づけられています。しかし、20歳というとまだ学生で就職をしていない人も多くいますから、国民年金の保険料を納付するのは大変です。無事に就職できれば給料から厚生年金が天引きされるので、国民年金を別に払う必要はなくなります。

しかも厚生年金はあなたの納めた額と同額を会社も出していますから、あとで年金を受給する場合国民年金よりずっと大きい額の年金が受け取れます。しかし就職しなかった場合や自営業をしている場合は、国民年金を毎月納付期限までに払わなくてはなりません。では、この年金を払わなかった場合、いったいどうなるのでしょうか。

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年金の支払いの流れ

国民年金は日本年金機構という団体が扱っていますから、振替用紙で年金を支払うか、ゆうちょ銀行やその他の銀行の口座から引き落とす手続きをしなくてはなりません。この支払が滞った場合、年金機構から督促状が送付されたり、督促の電話がかかってきたりします。督促状には滞納した年金の支払期限が明記されていますので、その期限までに支払えば問題はありません。

しかしその期限までに支払わなかった場合、督促からさらに一歩進んで滞納処分をされてしまいます。こうなると、財産調査が行われるとともに、滞納している額に応じてあなたの財産が差押さえられ競売に掛けられ、それによって滞納額が相殺されるのです。これを滞納処分と呼んでいるのですが、これには強制力がありますのでどうすることもできません。

ただし、滞納額を支払う意志を示した場合は滞納指導を受けて、これまでの未納分をどのくらい月々の支払に加えて支払っていくか、可能な額が計算されます。ただし、これまでの未納分に対しては延滞金が加算されます。すでに差し押さえられた財産がある場合はそれを競売に掛けて売却する(これを換価といいます)ことを一時的に中止してもらえます。

また国民年金がどうしても払うことができない場合は、猶予制度や免除制度もありますから、年金機構の職員と相談をしてみてください。滞納指導を受けたものの、結局未納のままになった場合には、財産の差押えと換価という処分を受けることになりますので注意してください。

年金の未納リスク

国民年金を未納にしていると、督促状が送られてきます。それを無視していると最終的には財産差し押さえと換価という事態になってしまいます。

65歳から死ぬまで国民年金を受給することができるためには、最低でも10年間は国民年金を支払っていなくてはなりません。国民年金を払っていないと、老齢基礎年金を受け取ることができません。

また、国民年金には老齢基礎年金のほかに、障害者に対する障害基礎年金もあります。これは年齢にはあまり関係なく、病気やケガによって1級または2級の障害者として認定されたとき、初診の日にさかのぼって受給できるものです。しかし、国民年金を支払っていないと、たとえ障害者になってもこの障害基礎年金を受けることができません。

障害者になった場合は働くことも困難ですし日々の生活にもいろいろな支障をきたしてしまいますから、障害基礎年金がもらえるかどうかということは大切なことです。そのほかに年金受給年齢に達する前に死んでしまった場合、その被扶養者である配偶者や18歳未満の子が受け取ることのできる遺族基礎年金を受けることができます。しかし、年金を払っていないと、これももらえません。

国民年金は保険であるということも理解しておいてください。保険ですから、不測の事態や将来のためにコツコツと掛けておくものが国民年金ということになります。

年金未納への対処方法

学生または自営業者の場合は国民年金第1号被保険者ということになり、自分で国民年金を支払わなくてはなりません。会社で働いている人は第2号被保険者といって、厚生年金を給料から天引きされていますので国民年金を払う必要はありません。国民年金の支払いに関して問題になるのは第1号被保険者ですが、収入が少なくて国民年金を払えない場合は、保険料免除制度がありますので、これを利用してください。

前年度の世帯の所得により免除額は全額免除から4分の1免除まで4段階あります。ただし学生はこの制度を利用することができません。また、20歳から50歳未満の場合には、保険料納入猶予制度がありますので、学生はこれを利用することができます。

これらの制度を利用して年金納付額を少なくした場合、65歳で受給できる年金額が少なくなることはありますが、障害基礎年金や遺族基礎年金は受けることができます。

現状の年金納付率

厚生労働省の発表によると、国民年金の納付率は平成27年度が70.6%、平成28年度が66.6%、平成29年度が56.5%と、毎年かなりの割合で下降しています。未納率は100からこれらの数字を引いたものになりますから、平成27年度では30%程度だった未納率が、平成29年度にはなんと45%を越えています。

未納率がいよいよ50%に迫る勢いですが、この数字にはちょっとしたトリックのようなものがあります。

未納者のうちで国民年金を全額免除されている人たちがいるからです。その割合は1号被保険者、つまり国民保険を自らが納付する義務のある人の33.8%に当たります。国民年金を支払うべき人の3分の1が、実は何かの事情で国民年金の支払いを免除されていることになります。

国民年金の納付率である56.5%に免除者の33.8%を足すと90.3%となり、約1割の人が国民年金を払っていないことになります。

まとめ

年金を払うことは税金を納めるのと同じように国民の義務ですから、払わないでいると大変なことになります。また、国民年金の老齢基礎年金だけではなく障害基礎年金や遺族基礎年金も受けられません。

国民年金は保険ですので不慮の事態や将来に備えて毎月掛けてください。収入が少ないために年金を払うことが困難な場合には、免除制度や猶予制度がありますので、これを活用してみてください。

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