小論文の書き方~看護編:ナース採用合格は採用側に立つことが大事

看護師の採用試験にも小論文が課されます。看護師は医療分野の専門職ですから、看護専門学校か大学・短大の看護学部などを卒業して必要な専門知識と技能を修得したあと、国家試験に合格しないと看護師の国家資格は取得できません。しかし、看護師の国家資格を取得したからといって看護師の職を得たことにはなりません。看護師として病院や医療機関に採用されなくてはなりませんが、そのためには試験を受ける必要があります。採用する側でいろいろな課題を用意していると思いますが、ここでは小論文について考えてみることにしましょう。

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小論文って

限られた時間に限られた字数で与えられたテーマについてあなたの考えを述べるのが小論文です。学科試験などとは違って、覚えた知識をそのまま書いたのでは小論文にはなりません。自分の考えを述べるのが小論文です。感想文とは違ってただ自分の感想を述べたのでは小論文になりません。論文ですから論理的な文章の構造が必要です。言い換えると、自分の考えを読む人に納得させるための論理をきちんと組み立てるのが小論文ということになります。

採点する側に立って考える

採用試験の小論文は、受験者が同じテーマでそれぞれの意見を書きます。知識問題とは違ってこの意見でなければダメということはなく、比較的ユルいのが小論文の特徴です。言い換えれば、正解はないということです。しかし正解がないから簡単かというと、決してそうではありません。採点者は結論だけを見て小論文を採点しているのではなく、問題提起から始まり結論に到るまでの論の進め方の全体を見ているのです。ですから採点する側に立って小論文の構成を考えてみることが大切です。採点者が「なるほど」と納得するような小論文を書いてください。

看護師として働くためにはもちろん資格が必要であり、そのための知識や技能を身につけている必要がありますが、その場その場で適切な判断をするためには、看護に必要な地頭が必要です。採点する側は小論文によってその看護師としての地頭を見ているのです。どんなに知識が豊富であっても、それを現場で使いこなせる能力がなくてはなりませんが、そのために必要な基礎学力を採点者は小論文を通じて見ているのです。

小論文の書き方

小論文には書き方のルールがあります。このルールに従って、書いた内容を簡単にまとめることにしましょう。このルールは「だろうかたしなよ」と覚えやすい形になっています。このルールを簡単にまとめてみます。

「だろうか」
→疑問を投げかける
「たし」(たしかに~だが、しかし~)
→反対意見を述べて、次に自分の意見を述べる
「な」(なぜならば~)
→説得力のある理由をあげる
「よ」(よって~)
→結論でしめくくる

例文

では、この「だろうかたしなよ」で例文を作成してみましょう。テーマは臓器移植ということにします。

「だろうか」
臓器移植法が改正されて、未成年からの臓器移植も可能になりました。欧米では「人間機械論」の影響からか、使える「部品」はどんどん使おうとしてきたのですが、わが国では御遺体からその一部を切り取ることへの抵抗もあり、それに、臓器移植をする御遺体は脳死状態にあってまだ心臓も動いているし呼吸もしているのですから、そこから臓器を切り取るということは許されることなのでしょうか。

「たし」
たしかに脳死は、医師が「死」を認定する「呼吸停止」「心肺停止」「瞳孔散大」という3要素がまだ現れていません。脳死を人の死とするかどうかについてわが国ではかなりの期間論争が行われましたが、現在では脳死は人の死として法的に認められるとともに、脳死した未成年者からの臓器移植も認められ、実際にその症例もあります。しかし、人間は機械ではないのですから、脳死した御遺体から機械的に臓器を取り出して移植するのは間違っていると思います。

「な」
なぜなら、御遺体になられた故人の遺志が尊重されるべきであり、またその故人のご家族の気持ちも最大限に考慮する必要があるからです。

「よ」
よって私は、脳死状態になられた患者とその家族の方々の気持ちと、その患者の臓器により生命を救われる方々の希望とを、うまくつなぎ合わせる努力を怠るべきではないと思います。

よく出題されるテーマ

看護師採用試験では、医療や看護とはまったく無関係のテーマから出題される可能性はあまりありません。医療や看護の分野から出題されるテーマとして考えられるものを挙げることにしましょう。医療のテーマとしては、終末医療や臓器移などがホットなテーマです。また、あってはならないことですが医療ミスも大事なテーマです。看護師の採用試験ですから、看護師の役割についてもしっかり考えておくようにしてください。

医療はまたそれを取り巻く社会の問題の一つですから、社会問題もテーマとして出題されます。その社会問題でもとくに医療と関わりの深いものとしては高齢化社会や家族に対する虐待問題があります。また、環境問題も忘れてはなりません。あなたが社会に対してアンテナを張っているかどうかを見るために、時事問題も出題のテーマになります。最近のニュースについてはいつも気をつけていて、それに対して自分の意見を述べられるよう普段から考えておくことが大切です。

看護師はまた患者と接する機会が多い職業ですから、あなたの人間性を問うような小論文のテーマも重要です。自分のことについて、自分の長所についてきちんと述べられるようにしていてください。また、あなた自身の家族のことや、家族だけではなく他人に対する思いやりや優しさも、看護師という職業には大切なことですから、やはり出題されるテーマになるでしょう。

まとめ

採用する側はあなたの書いた小論文を通してあなた自身を見ようとしますから、あなた自身が正しく現れるような小論文を書くよう心がけてください。他人が読んで納得できないようなものはダメですし、あまりにも当たり前ことばかり書いているのもダメです。日頃からこの社会で起こるさまざまな問題について真面目に考えて、あなた自身をより高いものにするよう努力してみてください。

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