公示価格と路線価って違う?気になる土地の価格あれこれをご説明

公示価格と路線価の違いは何でしょうか?

実際に取引されている土地の価格を実勢価格といいますが、これとは別に、公的に定められた土地の価格があります。固定資産税や相続税などは、この公的に定められた土地の価格をもとにしてその税額が算出されます。では、「公的」という場合、これは国なのでしょうか

それとも地方自治体なのでしょうか。また、どの時点で誰がこの公的な土地の価格を決めるのでしょう。ここでは、公示価格と路線価との違いについて考えてみます。

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公示価格とは?

公示価格とは、国土交通省の土地鑑定委員会が、毎年4月に公表する土地の価格です。4月に公表される公示価格は、1月1日時点での標準地の正常な価格を示したものとして、路線価をはじめとして土地の価格の参考になっています。平均すると路線価の1.25倍が公示価格ということになります。

土地の価格は売り手と買い手との駆け引きによって決まるという側面があるのですが、公示価格は売り手にも買い手にも偏らない客観的な適正価格を示したものとされています。ですから、公共事業などで土地が必要となった場合、その土地の取得価格の基準になるのが公示価格です。公示価格は国土交通省によって公表されたものですから、国土交通省のホームページなどで調べることができます。

また、土地を所有していると課せられる固定資産税の基準になっている固定資産税評価額も、公示価格をもとに算出されていて、公示価格の7割ということになっています。

路線価とは?

路線価は、毎年7月1日に国税局・税務署で公表するものです。国土交通省ではなく国税局が公表するということは、税金に関係する土地の価格ということになります。この路線価をもとにして、相続税や贈与税が課せられることになりますので、路線価は相続税路線価とも呼ばれています。

「路線」というのは街路のことですから、路線価は街路に面した標準的な土地の価格ということになります。路線価は、1平方メートル当たりの土地の価格を示したもので、千円単位ですから、300とあれば30万円ということです。

路線価は、国税局や税務署のホームページで調べることができますが、例えばこの路線価に該当する土地を300平方メートル相続した場合の価格は、路線価を単純に300倍すればいいというものではありません。それは、路線価が街路に面した土地1平方メートルの標準的な価格だからです。奥行価格補正倍率や側方路線影響加算率や二方路線影響加算率などを掛けて正確な土地の価格を出すことになっています。

この路線価は公示価格の80%が基準になっていて、相続税や贈与税のための土地の価格として用いられるほか、銀行の融資を受ける際の担保の額としても用いられます。

公示価格と路線価の違い

路線価は、街路に面している土地1平方メートルの価格ですから、道路ごとに細かく価格が決められています。すぐ近くの土地でも、街路が違えば路線価が違うということもあり、道路が通っていない地域には路線価がありません。このような地域は倍率地域と呼ばれていて、固定資産税評価額に一定の倍率を掛けることで地価を計算します。

また路線価には、相続税路線価と固定資産税路線価がありますが、この言葉からわかるように、土地に課税するときの基準になる土地の価格が路線価ということです。ですから路線価は、国税局・税務署が公表することになっています。

これに対して公示価格は、地価公示法に基づいて毎年1月1日に土地の「正常な価格」として決定されるものです。国土交通省の土地鑑定委員会が調査して適正な土地の価格を決定しますが、原則として都市計画法による都市計画区域にある土地が対象です。

公示価格は公示地価とも呼ばれていますが、「住宅地」「商業地」「宅地見込地」「準工業地」「工業地」「調整区域内宅地」というように分類されます。なお、価格の適正化をより正確に行うために、公示価格は複数の不動産鑑定士による評価によって決定されます。

なお、路線価は公示価格の8割ということになっていますから、公示価格のほうが高くなっています。それは、税金の対象になる価格を低めにするという配慮がなされているということです。ですから、実際に売買される土地の価格は、路線価よりは公示価格に近いものになるのがふつうです。

実勢価格とは?

実際に土地を売ったり買ったりするとき、その土地には公示価格や路線価とは異なる価格になることがあります。これを実勢価格と呼んでいます。

適正な土地の価格として定められている公示価格は、この実勢価格と一致することを目指しているのですが、なかなかそうはいきません。どうしてもその土地がほしいという人がいれば、公示価格より高い価格で売買することができますが、誰も買い手がつかない場合には、極端なことをいえば土地の価格はゼロということになります。

ほとんど無価値の土地でも、道路が通るとか高速道路のインターチェンジができるとか鉄道の駅ができるとか、そういうことで価値が生まれます。その反対に、住環境を破壊するようなものが建設されるということになると、土地の価格も破壊されてしまいます。

分譲マンション用地を例にしてみると、マンションが建設されたあとの分譲価格から土地の価格も計算されますので、実勢価格は公示価格より高くなります。また大型商業施設が建設される場合も同じ結果になります。

その反対に、間口が狭いとか急傾斜地であるとか、その土地の条件が悪い場合には公示価格より実勢価格は低くなってしまいます。また、公示価格は1年に1回の見直しですが、実勢価格はその都度変化しています。

まとめ

土地の価格を決めるのは、まずは国土交通省や国税局の仕事です。公示地価や相続税路線価などが標準的な土地の価格として公的に決められます。しかし、不動産屋さんの広告に「現況優先」という言葉があるように、実勢価格はこれらの価格を目安にしながらも、その都度変化します。ここでは、路線価と公示価格がどういうものなのか考えてみました。

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