倍率地域と路線価の気になる関係|知っておきたい土地の評価額

路線価が定められていない地域を倍率地域といいます。宅地にはふつうは路線価が定められていますから、倍率地域というのは一般的には宅地ではない、田畑などのことをいいます。

路線価が定められていませんが、土地を所有していたら固定資産税が課せられますので、倍率地域にも固定資産税が課せられています。これの基準になるのが固定資産税評価額です。この固定資産税評価額に一定の倍率を掛けることで地価が公的に決定される地域が倍率地域ということです。

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土地の価格の基準となる路線価とは?

では、一般的に公的な地価として認められている路線価とはどのようなものであり、また、どのように決定されるのでしょうか。

路線というのは道路のことですから、ある道路に面した土地の1平方メートルあたりの標準的な価格を示したものが路線価です。千円単位の表示ですので、路線価180だと、18万円ということになります。路線価は毎年7月1日に国税局・税務署で公表されますので、公的な意味をもった土地の価格ということになります。

ですから、相続税や贈与税を計算するときにこの路線価、正確に言うと相続税路線価が用いられます。また、土地を担保にして銀行から融資を受ける場合にも、路線価がその担保の基準になります。

では、その路線価はどのようにして決められるのでしょうか。国土交通省の土地調査委員会が毎年1月1日時点での標準地の正常な価格を決定し、それが4月に公表されているのが公示価格です。この公示価格の80%が相続税路線価、70%が固定資産税路線価ということになります。

路線価はあくまでも道路に面した土地の1平方メートルの価格ですから、その路線価が決められている土地を含む全体の価格を決定するには、少し計算が必要になります。

路線価の基準になるのは正面路線価ですが、奥行きに関してはこれに奥行価格補正率を掛けて算出します。そのほか、側方路線価に奥行価格補正率と側方路線影響加算率を掛けたり、裏面路線価に奥行補正率と二方路線影響加算率を掛けたりして、土地全体の価格を算出しますが、少し複雑な手続きが必要です。

それというのも、土地は形もいろいろですし、国土の8割は山林というわが国の事情からすると、見渡すかぎりの大平原という土地はあまり想像ができませんから、路線価を基準にしてさまざまな補正が必要になるのです。

こうして、基準になる路線価から算出された土地の価格ですが、実際に取引される実勢価格とは必ずしも一致しないので注意してください。

路線価と倍率地域の気になる関係

路線価とは道路に面した土地の価格ですが、国税庁のホームページで路線価を検索してみると、道路に矢印と数字が書かれている場所と、道路に矢印と数字が書かれていない場所があることがわかります。道路に矢印と数字が書かれている場所は路線価が定められている地域です。

この数字が路線価を示していて、その道路に面した土地の1平方メートルあたりの価格です。千円単位なので、250とあれば25万円ということになります。

道路に数字が書かれていない場所が倍率地域で、この道路の近くに倍率地域と書かれています。国税庁のホームページで、路線価図・評価倍率表を検索して、評価倍率表から倍率地域とその地域の倍率を調べることができます。

倍率地域の評価額について

倍率地域の評価額は、固定資産税評価額に倍率地域に与えられた倍率を掛けて計算します。例えば、固定資産税評価額が2000万円で、倍率が1.1倍であれば、その土地の評価額は2200万円ということになり、計算それ自体は比較的簡単です。この土地を相続した場合は、2200万円が相続税評価額となり、この評価額に応じて相続税が課せられます。

このような計算をするためにはまず、納税通知書に同封されている固定資産税の課税明細書が必要になります。課税明細書が見当たらない場合には、市町村役場で固定資産評価証明書を発行してもらいます。

次に、その土地が路線価の地域にあるのか倍率地域にあるのかを、国税庁のホームページで確認します。倍率地域にあるとすれば、その倍率がいくらになっているのかを確認します。あとはごく簡単な掛け算で倍率地域の評価額が出てきます。

知っておきたい評価するときに注意するポイント

計算は簡単なものですが、いくつか評価するときに注意するポイントがあります。

固定資産税路線価は3年ごとに見直しが行われていますが、倍率地域の評価に用いる固定資産税の課税明細書は、相続があった年のものを使うことになります。また、相続される土地は昔から引き継がれているものなので、固定資産税の課税明細書に書かれている地積、つまり土地の面積と実際の土地の面積が違っていることがあります。

これを縄伸びといいますが、この場合はもちろん現況優先、つまり実際の地積で評価額を計算します。

地目には、「宅地」「田」「畑」「山林」「雑種地」の5種類ありますが、倍率地域の地目はふつうは「宅地」ではありません。ところが、もとは山林や田や畑であったのに宅地になっていることもあり、これもやはり現況優先で、宅地の倍率が適用されます。

また、相続される土地が複数の地目で構成されている場合は、それぞれの地目で倍率を適用して計算し、その合計額が評価額になります。

相続税はできるだけ低い税額に抑えたいものです。倍率地域は固定資産税評価額に一定の倍率を掛けるという単純な計算式ですが、土地の状況によっては減額も可能ですので、減額調整できるかどうかについて考えることが大切です。その例としては、現在は狭い道路に面しているけれども、立て替えのときには道路を広げるために土地の一部を道路に転用しなければならない場合があります。

これをセットバックといいますが、その場合は減額調整できます。また、相続する土地の一部に都市計画道路の予定地がはいっていれば、やはり減額調整の対象になります。

まとめ

自分が住んでいない土地を相続したとき、その土地の評価額に応じて相続税を納めなくてはなりません。相続税路線価が定められている地域ではその路線価に応じて相続税額が決定されますが、宅地ではない土地はふつうは路線価が決まっていません。

この地域を倍率地域といい、固定資産税評価額に定められた倍率を掛け算して土地の評価額を決定します。そのときいくつか注意するポイントがあります。うまくいくと減額調整を受けることができます。

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