路線価と公示価格と基準地価の違い|土地の値段が決まるのはどれ?

土地の値段はどのようにして決まるのでしょうか。例えば、自宅を売りたいと思ったとき、自分ではなかかなその買い手を見つけることはできません。その反対に、自宅を誰かが買いたいと申し出てきたとき、その相手の提示する金額でいいのかどうか、わかる人はいないでしょう。

住宅やマンションを売却したいと思ったら、ふつうは不動産関係の会社に見積もりを依頼して、査定価格を出してもらいます。不動産鑑定士という資格がありますが、この資格をもっている人がさまざまな要素を勘案して不動産の価格を決めるのです。もちろん、その値段で買い手が見つからない場合は、もう少し値段を下げることもありますから、実際に取引される価格は変化します。

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土地の値段は路線価と公示価格と基準地価

土地の価格は骨董品のようなもので、その都度売り手と買い手とのあいだで交渉が行われて決まるものなのでしょうか。もちろんその答えは「ノー」です。土地には、公的に決められた価格があります。もちろんその価格は実際に売買される実勢価格とは一致しませんが、この公的な価格が基準になっていることは確かです。

相続税や固定資産税の算出基準になるのが公的な土地の評価額ですが、これには、路線価、公示価格、基準地価というものがあります。それぞれどのようなものなのか、「公的」といってもどの役所が決定するものなのかなどについて考えてみることにします。

路線価とは?

路線価は毎年7月1日に国税局・税務署で公表する土地の価格です。税務署が公表するということはつまり、税金が関係するということです。路線価には相続税路線価と固定資産税路線価がありますが、相続税路線価は相続税や贈与税の税額を決定する基準になる土地の価格で、固定資産税路線価は固定資産税の基準になる土地の価格です。

路線というのは道路のことで、路線価は道路に面した土地1平方メートルあたりの価格です。国税庁が公表している路線価図では、道路に35Dというような数字が細かく記載されています。35というのは千円単位の価格で、3万5千円ということです。Dは借地権割合を示すもので、60%という意味です。借地権割合はAの90%から始まり、Gの30%まで10%刻みで設定されています。

相続税の基準になる相続税路線価ですから、土地を担保に銀行から融資を受ける場合にも路線価が評価の対象になりますが、実際に市場で取引される実勢価格とは異なり、一般的には実勢価格よりも低いのが路線価です。路線価は、次に挙げる公示価格の80%ということになっており、もうひとつの公的な地価よりも2割程度低くなっています。ふつうに路線価というのは相続税路線価です。

国税局・税務署が決定して毎年見直しが行われる相続税路線価と違って、固定資産税路線価は固定資産税の税額決定の基準になるものなので、各市町村が決定しています。東京23区は東京都が決定しますが、公示価格の70%ということになっていますので、相続税路線価より低く設定されています。

見直しは3年ごとに行われますが、かつてのバブルのように土地の価格が急激な変化をする場合は、3年を待たずに見直しが行われることになっています。

公示価格とは?

路線価のもとになっている公示価格とは何でしょうか。公示地価とか地価公示価格とか呼ばれる公示価格ですが、これは国土交通省の土地鑑定調査委員会が、毎年1月1日時点での標準地の地価を決定し、4月に公表するものです。

相続税路線価が国税局、固定資産税路線価が市町村によって決定され公表されているのは、それぞれの目的があるからですが、公示価格は全国的なレベルでの標準地の価格ということで、相続税路線価はその80%、固定資産税路線価はその70%ということになっています。

公示価格は、国土交通省が提示する標準的な土地の価格ですから、土地の売手にも買手にも偏らない適正で客観的な価格を示したものということになります。ですから、公共事業などで土地が必要になったときには、この公示価格が土地取得価格の算定基準になります。

基準地価とは?

もうひとつ、基準地価という公的に定められた地価があります。名称からするとこれが地価の基準になるように思われます。公示価格は国土交通省が公表するものですから、全国レベルの標準的な地価を示したものです。それに対して基準地価は、都道府県地価調査価格というのが正式の名称ですから、公表の主体は各都道府県です。

基準地価すなわち都道府県地価調査価格は、国土利用計画法施行令第9条に基づいて毎年7月1日を基準日として、全国の約3万地点の基準値を評価の対象として調査され決定されます。ですから、この基準地価は路線価や公示価格より実勢価格により近いものになります。

実際に売買される土地の価格は、不動産業者が勝手に決めるわけにはいきませんから、基準地価を基準にして、その他さまざまな条件を勘案して個々の土地について売買する価格を決める、と考えていいでしょう。

まとめ

土地の値段は、「一物五価」とか「一物四価」とか言われるように、同じものなのに価格がいろいろ違っています。国土交通省が公表する公示価格が基準となって路線価が決定され、それによって土地にかかる税額が決まります。

しかしこれらは実勢価格とは必ずしも一致しません。全国3万地点の基準地を評価の対象として都道府県地価調査価格が公表され、これが基準地価となっています。

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