ギリシャ神話に登場するオイデプス王は、父親を殺害して母親と結婚します。もちろんオイデプス王自身は自分のしたことをまったく認識しておらず、知らずに予言を実現したことになります。しかしこの神話から、20世紀に精神分析学を創始したフロイトは、男の子が無意識のなかに抱いている密かな願望を探り出し、それをエディプス・コンプレックスと名付けました。
父親を殺害して母親と結婚するというようなことは神話の世界の出来事であり、現実にこういう事件が発生することは考えられませんが、精神分析学の創始者フロイトは、男の子自身が意識していない隠された願望を明らかにすることで、精神的な病気の治療をしたのでした。
息子は知らず知らずのうちに母親の愛情を求めるものです。息子にとって母親は生まれて最初に出会う異性です。ふつうに成長していれば、息子は母親ではない別の異性を求めるようになるのですが、複雑な現代社会を生きていると、この無意識世界のコンプレックスが微妙な形で現れるのかもしれません。
息子が婚しない原因
息子がいつまでも結婚しない原因として考えられるのは、結婚の必要性を感じないということでしょう。自宅にいれば家賃を支払う必要はありませんし、料理も洗濯もする必要がありません。自分の収入をすべて自分のために使うことができますから、仕事が休みになったら趣味に興じることができます。
親にとっても息子は何歳になっても息子ですから、つい甘やかしてしまうのではないでしょうか。結婚して自分の家庭に責任を持たなければならないことが、いつまでも子供でいられる自由さに比べたら重荷であるように感じられてしまうのです。
自分のわがままを聞いてくれる母親の役割を妻に期待することはできないだろうということは、結婚する前からわかります。まして子供が生まれたら、自分が親にならなくてはならないのですから、結婚しないでいるときの自由は失われてしまいます。
結婚できない問題点
「いつまでもあると思うな、親と金」ということわざがあります。息子は結婚さえしなければいつまでも息子でいられるかというと、そうではありません。どんな人間でも年を取りますから、息子がアラフォーになったとき、親は60代後半になります。親はいつまでも若く元気でいられるはずもなく、息子がふつうに結婚していれば、孫から「おじいさん」や「おばあさん」と呼ばれています。
いつまでも結婚しない息子も年を取ってしまいますから、たとえ結婚したいと思うようになっても、そんな男性をもう女性が相手にしなくなってしまいます。結婚したくないというのではなく、結婚できないという現実に直面するのです。こうなってしまったら、もう手遅れです。
どうしても何かやりたいことがあって生涯独身を貫くという生き方もありますが、なんとなく親に甘えているうちに婚期を逸してしまった息子は、このような生き方を自らの責任で選択などしていません。いつの間にか自分も年を取ってしまっていて、結婚しようと思っても結婚などできないというこの現実に押しつぶされてしまうかもしれません。
結婚できない息子にした親の責任
結婚しようと思っても結婚できないという現実に直面するのは本人の責任ですが、同時に息子をそこまで甘やかしてしまった親の責任でもあります。親としては、いつまでもかわいい息子でいてほしいという気持ちはあります。ほかの女性に愛する息子を奪われてしまうかもしれない、母親にはとくにそんな無意識の恐れがあったかもしれません。
赤ん坊は、親の手を借りることなく成長することはできません。しかし、子供が成長するにつれて、親はその分だけ子供から手を離していかなくてはならないのです。結婚できない息子にしてしまったのは、親がいつまでもその手を離さなかったからです。息子が自立できるように育てることが親の責任だったのに、その責任を果たすことができなかったと、親としては反省するしかありません。
結婚できない息子への対処法
「後悔先に立たず」ということわざがあります。手遅れにならないうちにやるべきことをやっておきなさい、という先人の教えですが、手遅れになってしまったらどうすればいいでしょうか。「思い立ったが吉日」ということわざを信じて、今からでも息子を自立させるための対処をしなくてはなりません。
結婚しない男性が4人に1人もいるというのが現状ですが、逆に言えば4人に3人の男性は結婚しているということになります。結婚することのメリットを息子に教えるとともに、息子が自立できるよう、息子の手を離す必要があります。例えば、息子から部屋代を徴収するのも対処法のひとつです。食費や洗濯代などを息子からもらうことで、自分の力で生活することの意味を教えなくてはなりません。
結婚相談所もあるよ
結婚しない理由には、結婚したいと思う相手に会ったことがないというのがあります。この結婚しない理由は、男性でも女性でもトップになっています。ということは、結婚したいと思う相手とめぐり会えればいいということになります。
結婚相談所には、さまざまな年齢や条件の人たちのリストがあります。そのなかから、自分に合った相手を見つけることは可能です。また、親同士のお見合い会もありますから、結婚しない息子や娘をもっていて、それが心配な親同士、協力することもできます。
まとめ
子供は親にとってはいつまでも子供ですが、社会的にはいつまでも子供ではいられません。それはまた親にもいえることで、いつの間にか介護の必要な老人になってしまうかもしれません。いつまでも結婚しない息子がいたら、いろいろ心配になってしまいますが、結婚しない息子の背中を、自立の方向へと少し押してみることが大切です。